【T#36】運命と因果応報について
2016年11月4日(金)に占星術の講座5回目が開催された。
Kaori Art Worksの秋田谷かおりさん(以下かおりさん)が「2016年短期集中講座「自分で読むホロスコープ〜宇宙への航海」」を企画。
今までプレ・イベントを含めて4回開催された分について本コラムで書いた。
プレ・イベント:「自分で読むホロスコープ〜宇宙への航海:開催記念のイベント」
1回目:「自分で読むホロスコープ〜宇宙への航海:0期・第1回目」
2回目:「自分で読むホロスコープ〜宇宙への航海:0期・第2回目」
3回目:「自分で読むホロスコープ〜宇宙への公開:0期・第3回目」
4回目は、仕事の都合上、参加できなかったため、今回5回目となる。
占星術の概要がだんだんと理解するにつれて、占星術とタロットの違いについてもわかってきた。
今回は5回目の内容を書く前に「運命」と「因果応報」について考えてみたい。
京セラの元会長の稲盛和夫氏の「稲盛和夫の哲学」という本がある。
その第12章に、運命について、
運命=自分の意思や遺伝子の力が及ぼない「何か」
と定義した上で
東洋の易や西洋の占星術は、
「「運命」というものの重みを理解し、なんとかしてそれを知ろうとする人々の強い願望が生み出したもの」
と書いている。
確かに占星術は、人間性の理解が奥深く、その知識は体系化されている。5回目では、紀元前500年のバビロニア地方から発祥したという話が出たが、歴史的には、日本史よりも長いこと。そして幾多の戦乱や歴史をくくり抜けてきたことを考えると、現代でも米国の元大統領であるロナルド・レーガン氏が物事を決断する上で、占星術の専門家に頼ったという話も頷ける。
一方で、稲盛氏は、「運命」以外にもう一つ人生に形付けられる大きな要素があるという。
「善根は善果を生み、悪根は悪果を生む」
という「因果応報の法則」だ。
「行動(いい・悪い)は結果(いい・悪い)に現れる」
ということを意味するが、
実は、
「因果応報の法則」の方が「運命」よりも強いという。
それを裏付けるような考えとして、安岡正篤さんの本を紹介している。日本の戦国時代に残された中国古典「陰隲録」の考え方を述べているのだが、運命に対してどのように向き合うべきか、考えさせられた一冊だ(下記の本に詳しく書いてある)。
稲盛氏の「稲盛和夫の哲学」には「陰隲録」についてわかりやすく書かれているので、本文から引用したい。
「袁了凡はもともとの名前は袁学海といい。代々医術を家業とする家に生まれました。父を早くに亡くしたため、母の手で育てられ、彼の母は息子に医者を継がせようと医学を学ばせていたところ、ある日頬髯の立派な老人が訪ねてきて、こういいました。
「私は雲南で理法(易)をきわめた者です。袁学海という少年に理法を教えるようにと天命が下ったのでやってきました。お母さんはこの子を医者にしようとお考えかもしれませんが、彼は科挙の試験に通り、立派な役人になります。県で受ける一次試験には何番でとおります。二次試験、三次試験にも何番で受かります。そして科挙の本試験に臨む前に役人になり、若くして地方長官に任じられます。結婚はしますが、子供はできません。そして53歳で亡くなる運命です」
学海少年は実際に医者の学問をやめ、役人の道へ進みます。すると、恐ろしいぐらいに老人が言ったとおりになっていく。何番で試験に受かるかというのもそのとおりなら、地方長官になるのもそのとおりでした。すべてが老人が予言したとおりだったのです。
その後、南京の国立大学に遊学することになった袁了凡は、雲谷禅師という素晴らしい老師がいる禅寺を訪ね、相対して3日間、座禅を組みました。
「お若いのに、一点の曇りも邪念もない素晴らしい禅を組まれる。これほど素晴らしい座禅を組む若い人を見たことがない。一体どこで修行をなされたのかな?」
雲谷禅師が感心していいました。これに対して、袁了凡は子供のころに出会った老人のことを話しました。
「私の今日までの人生はその老人の言葉と一分の狂いもありませんでした。すべて老人がいったとおりです。子供もできませんし、おそらく53歳で死ぬのでしょう。だから、思い悩むことは何もないのです」
その話を聞いた雲谷禅師は一喝しました。
「悟りを開いた素晴らしい男かと思ったら、そんな大馬鹿者だったのか!」
そして、「老人があなたの運命をいったというが、運命は変えられないものではない」といって、善きことをすればよい結果が生まれ、悪いことをすれば悪い結果が生まれるという「因果応報の法則」を説きました。
「善きことを思いなさい。さすれば必ず、あなたの人生も好転していきます」
そういわれた袁了凡は、「自分は間違っていた。老師にいわれたように、今後は善きことをしていこう」と誓い、善きことをすればプラス1点、悪いことをマイナス1点というように、点数をつけ、日々善きことを重ねるよう努めました。その後、袁了凡は73歳まで生きながらえました。
また、できないといわれていた子供にも恵まれました。袁了凡はその子に向かってこう語ったそうです。
「雲谷禅師に出会うまでの人生は、運命のとおりだった。しかし、そのあと考え方を変え、善きことに努めたところ、おまえが生まれ、本当なら53歳で死んでいなければならないのに、70を過ぎたいまでも元気だ。なあ、息子よ。人生とは、善きことを重ねることで変えられるものなのだよ」
『運命』というものは決まってます。われわれが望んで動かせるものではありません。一方。『運命』と同時並行で流れる『因果応報の法則』は、そうではありません。この法則を使えば、決まっているはずの『運命』すらも変えられるのです。
このことを『立命(りつめい)」といいます。そうであれば、われわれは「運命」を変えることができる、この「因果応報の法則」をもっと有効に使うべきだと私は考えています。」
占星術とタロットとどのようにして距離をとったらいいのか?ヒント満載のこの書物。自分が個人セッションをする際にも、それを念頭に向き合いたいものだ。