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【N#170】エネルギー・仕事・カロリーとは何か?〜西洋独特な考え方

はじめに

東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・睡眠・マインドの脳活(脳科学活用)講座を提供している大塚英文です。

栄養学や食事で登場する「カロリー」や「エネルギー」。これらは、西洋独特の概念として知られているが、東洋の「プラーナ」や「氣」と同じように語られる。個人的には、西洋でなぜ「カロリー」や「エネルギー」の考え方をするようになったのか、歴史から知る必要があると思っている。

そこで、今回は、カロリーについて歴史的な背景から説明していきたい。

エネルギーとは何か?

エネルギーの考え方の原点〜馬・牛・奴隷を使った農耕・井戸作業

ヨーロッパを中心とした西洋では、馬・牛や人(奴隷)を使って農耕や井戸の作業を行なっていた。家畜の数が、作業の効率を決め「動力」と呼ばれていた。「動力」は、長い間、人の数、馬、牛などの家畜の数を数えていれば足りていた。

産業革命から「動力」の考え方が生まれる

英国で「産業革命」が起き、「動力」の手段が馬から機械に変わった。「大量に物を作る際に、道具よりも機械を使うこと」が「産業革命」の特徴の一つ。石炭の需要が高まり、地下から石炭を掘るために地下水が問題となった。そこで、地下水を「汲み出す」ため「動力」として馬に変わる機械(蒸気機関)の開発が進む。

参考に、産業に寄与したのは、科学者よりも技術者・職人で、蒸気機関で重要な役割を果たした、ジェームズ・ワットは学歴のない機械工職人だった。おまけに、機械がどれだけ「動力」を出すのか?

ワットは「動力」についての測定法も開発。馬に荷物を引かせて、33,000ポンド(約15トン)の荷物を1分間に1フィート(約30cm)引ける能力を1馬力と定め、「動力」の単位とした。このように「動力」は、農耕や井戸の作業の考え方の背景を知っていないと、分かりにくいかと思う。

物理学の「熱力学」の登場〜エネルギーと仕事

蒸気機関の特徴は、石炭を燃やして「熱」にしてから「動力」に変えること。「熱」からどのように「動力」を取り出したらいいのか?という問題提起から、物理学の一分野の「熱力学」が発展。「動力」の効率が議論されるようになった。

物理学から、「動力」は、「仕事」と「エネルギー」という言葉に置き換わっていく。「仕事」とは、「力」に逆らって、何かを動かすこと(上記で言えば、馬に荷物を一定の距離、運ばせるのは仕事)、「エネルギー」とは、「仕事」を行う能力のことを指すようになった。

普段、我々が使っている「仕事」は、「仕事が忙しい」「はかどらない」等、「お金を得るために、業務を行うこと」を指すが、西洋の考え方は、物をどれだけ動かせるのか?が「仕事」として定義されており、将来の仕事のために、どれだけ「仕事」する能力を蓄えることができるのか?から「エネルギー」が生まれた。

ぜひ、エネルギーについてご興味のある方は、古舘恒介さんの「エネルギーをめぐる旅」が詳しいのでお勧めしたい。余談だが、英国では、石炭の需要が高まり、馬を使って運河で運ばれたが、馬に変わって、蒸気機関車が開発され、鉄道の整備が進んでいく。

カロリーとは何か?

人間のエネルギーと「カロリー」

西洋では、馬を使って農耕を中心とした作業を行っていた。先述のように、車でも「馬力」という言葉が今でも残っている。人間の場合には、何を使って「エネルギー」を表現するか?そこで登場するのが「カロリー」だ。

カロリーは、水1キロの温度を1度上げるのに必要な熱量を1キロカロリーと決めた。ちなみに、カロリーは、ラテン語の熱を意味する「Calor」に由来する。

人間が食事を摂ると、体温(熱)と将来に必要な「仕事」(筋肉を動かす、消化・吸収、内臓を働かせる、)のためエネルギーを蓄える。エネルギーを蓄える量として「カロリー」が使われるようになったのだ。

興味深いことに、カロリーの考え方がわかっているといろいろな計算が可能となる。

馬の場合は、時間ごとに640kcalの仕事(馬力の定義)を楽にこなし、毎日10時間、継続できる。筋肉が力仕事に使えるエネルギーが25%。馬は、10時間で6400kcalの仕事が可能で、25,000kcal以上のエネルギーを燃やせる。人間は1日、2500kcalを燃焼するので、馬は10人分の仕事をこなせる(馬に乗ると、1日48km進む)。

人間の場合は、蛋白質、脂質、糖質(炭水化物)の量がわかれば、食事からどれだけのカロリー(エネルギー)を取り入れられるのか?計算が可能。カロリーの歴史は、すでに120年。1900年頃に、3つの栄養素のカロリーの計算が行われたのだ。

細胞と「代謝」の考え方

人間は、約36兆個の細胞から成り立っているが、細胞の生命活動を維持する(生物学では「代謝」と呼ぶ)ためにはエネルギーが必要となる。このため、安静時であっても、エネルギーが使われる。このエネルギーのことを基礎代謝という。

細胞の代謝は、すごく大事な考え方で、細胞内の代謝が悪いと、糖尿病、神経変性疾患(アルツハイマー、パーキンソン病)、内臓脂肪(脂肪肝)、心臓病、脳卒中、がん等の原因となる。

代謝は、身体の成長、身体の維持(修復、炎症)、エネルギーの蓄積(体脂肪、グリコーゲン)、筋肉の活動、繁殖に割り振られる。このように、体内の代謝を維持するために、エネルギーが使われるため、極力身体を使わないように、人間は進化。怠け者が一種のデフォルトになっていると言ってもいい。

代謝で、注目されているのがエネルギーを作り出すミトコンドリアだ。1個の細胞あたり、400個のミトコンドリア、体重の10%を占めるミトコンドリアが元気かどうかが、正常に代謝が働くかどうかのポイントになる。

カロリーと代謝

最近、明らかになっているのは1カロリーは1カロリーではないということだ。食事を摂ったとしても、栄養になるかどうかは、一人一人の消化吸収能力によって決まるし、腸内細菌もエネルギーとして15%程度取り入れるので、身体に100%エネルギーとして吸収されるわけではないからだ。

そして、カロリーには質があるということだ。同じカロリーでも何をとったかによって身体の影響が違うのだ。次回、この点について紹介できればと考えている。

まとめ

今回は、西洋の独特な考え方の一つ、エネルギー、仕事、カロリーについてまとめさせていただいた。栄養学にとって必須の考え方なので、理解が深まればと思い紹介した。

少しでも、この投稿が役立つことを願っています。

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