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【B#149】竹倉史人さん「土偶を読む」お話会に参加して

はじめに

東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・睡眠・マインドの脳活(脳科学活用)講座を提供している大塚英文です。今回は、「竹倉史人さん『土偶を読む』 お話会」のイベントに参加したので、報告したい。

1年前(2022年11月)、竹倉史人著の「土偶を読む・図鑑」を課題本に読書会を開催。その時から、ぜひとも竹倉さんに一度お会いしたいと考えていた。

竹倉史人さん「土偶を読む」お話会への参加

今年(2024年)に入り、知人の斎藤りゅう哉さんから、三軒茶屋から徒歩圏内にあるみつる堂で「竹倉史人さん『土偶を読む』 お話会」を開催するという情報を入手。

これは、参加せねば!と思い、妻・亜希子と友人と合計4名で申し込み、当日、臨んだ。

会場のみつる堂へ

午後4時開始予定よりも15分早くみつる堂に到着。若干、駅から歩いたが、奥の道に進むと、看板を含め、独特のいい雰囲気を感じた。オーガニック食品を含めた商品が展示されていたのが印象的で、店外には、さまざまなイベントのご案内もあり、将来、また伺いたくなるようなアットホームな環境を感じた。

午後4時、セミナー開始

1階席で待機していたが、午後4時には、2階席へ移動。参加者は12人程度とこぢんまりとした雰囲気で、3階へ向かう階段の下には、なんと、今話題のSHOGENさんの絵の展示まであって、驚いた。

竹倉さんは、独立研究者として活動している

午後4時に、竹倉さんが登場。スライドを使って「土偶を読む」の内容を中心に説明し始めた。本にも書いてあるのだが、改めて驚いたのは、経歴。人類学者を独立研究者という立場で行なっていること。すなわち、国からのサポートを一切受けていない立場の研究者で活動されているということだった。

普通の人は、独立研究者と大学で活動する一般の研究者の違いがよくわからないと思う。そこで、私の経験から説明させていただきたい。

私は、東京大学の医学系研究科で博士号を取得し、研究者を志した一人として、大学に在籍していた。基本、大学で研究するのは科学研究費(科研費)と呼ばれる研究にかかる費用を取得するため書類を書く、申請する、審査を経て承認。そこで予算を取得し研究ができる。参考に、科研費は、国の税金によって賄われているのだ。

大学の教授のポジションを得るということは、科研費を得る上で有利だが、重鎮の研究者に沿うようなテーマでないと、研究費が降りない傾向もある。竹倉さんは、国から研究費の支援を得ると、組織に縛られてしまい、失われるのはあまりにも多いという。

私も、大学や製薬業界から離れて、自営業の立場になって初めて分かったが、研究者は意外と組織によって縛られることがよく分かった。

人類とは何か?から土偶へ

竹倉さんの研究の面白さは、本質的なところを見ているところだと思う。人類学者は、「人類とは何か?」を追究していくが、どちらかというと知識に偏重しており、竹倉さんによると、身体の感覚で理解できていないという。

興味は、4万年前の人間がどのように世界を認知していたのか?記録として残っている、神話への関心から、土偶へ。人類学の用語で「先史時代のフィギュア」と呼ぶらしい。竹倉さんは全く、土偶の興味がなかったそうだが、学説に疑問を持つようになってから関心を示すようになったそうだ。

定説では、土偶は全て、女性を模っているという。竹倉さんは、そんなわけがなく、本来の土偶は、意図してデザインをしているのではないか。しかも様式が10種類。女性に当てはまるのはおかしい。別途モチーフがあるはず。と考えて、色々と模索していく。

仮説を立てる面白さ〜土偶は、食用植物と貝類を形どったフィギュア?

科学の研究で最も面白いところは、仮説を立てるところだ。しかしながら、仮説を立てるには、知識も必要だが、直感も必要となる。なぜならば、答えのない問題に対して、どう答えを出すか?知識を深めた上で、想像力を働かせながら、自分なりの答え=仮説を導く能力が試されるからだ。

竹倉さんによると、仮説を立てる方法として、演繹、帰納、アブダクションと3つの方法があるという。演繹は三段論法で、数学で使われている。帰納は、具体例から一般に通用する法則・原理を見つけることで、生物、物理、化学を含め使われている。

アブダクションは、直感から答えを出して、それに沿ってデータを集め、解析していく方法で、竹倉さんが取ったアプローチはアブダクション。直感を使って仮説を立てて、植物をかたどったのが土偶だという結論になったわけだが、しっかりとそのプロセスには、ロジックがある。

フレイザー「金枝編」という本には、植物霊に関する神話や呪術、植物霊祭祀等の記載があるのに対し、縄文遺跡から一切、植物霊祭祀の痕跡は見つかっていないそうだ。動物霊は登場するのに、おかしいのではないか。ひょっとしたら、土偶が植物霊祭祀を現すのではないか?と考えると理屈が合うのではないか。

人口が増えれば、土偶が増えるが、人口と相関してない。安産祈願ではない、狩猟成功説ではない、病気平穏祈願説も。。。稲作が始まってから土偶がなくなった。そして、土偶の出現・消滅は、食生活の変化とリンクしている。

このように考えると
「土偶は食用植物(と貝類)を形どったフィギュアである」
という可能性があるのではないか。

そこが土偶研究の出発点。実際に、ハート型土偶がおにくるみ、山形土偶は、はまぐりをはじめ、いくつかの土偶で植物や貝類をかたどったものと推論。しかも、フィールドワークで、土偶が出現する場所に、植物が出土するかどうかも調べているのだ。

ぜひ、ご興味のある方は、竹倉史人著「土偶を読む」をチェックいただきたい。

食事会で盛り上がる〜竹倉さんの研究姿勢

「土偶を読む」が発売された後、様々な批判が出たとのこと。ぜひ、どういった批判が出ているのか?もチェックいただき、仮説が正しいかどうか、ご自身で確認いただくのも面白いかと思う。

セミナーは、2時間に及び、その後食事会へ。午後6時頃スタートした食事会も大いに盛り上がり、最終的に午後9時頃まで食事を嗜むことができた。みつる堂の提供する食事は全て美味しく、会話も意外な方向へと進み、人類学の面白さや、竹倉さんの研究姿勢を含め、知ることができた。

どんな質問に対しても真摯に自分の言葉で答えること、肩書き関係なく、フラットに人と接する姿勢、既成概念を取っ払って物事を考える頭の柔軟性等、竹倉さんから学ぶことが多く、面白い会だった。

学問的に正しいか・間違いかについては、検証していくことも大事だが、どのようなプロセスを経て結論を出していったのか?わかりやすく答えることはすごく大事。私が大学院にいた頃、難しいことを難しく語る人の方が多かったので、その点、竹倉さんの姿勢は参考になると思う。

この場を借りて、主催いただいたみつる堂、演者の竹倉さん、イベントをご紹介いただいた、りゅう哉さん、参加した皆さんに御礼を申し上げたい。

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