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【P#41】「製薬業界からみた「薬」と「健康」について知ろう」〜統合医療グループ向けのZOOMセミナー開催

こんにちは!東京・渋谷(恵比寿)でロルフィング・セッションと栄養・タロットカウンセリングを提供している大塚英文です。

2021年5月27日(木)、「統合医療実践グループ(パーフェクト睡眠)」のメンバー向けにセミナー(オンライン、ZOOM)を開催した。

「統合医療実践グループ」のメンバーとの出会いは、2021年1月の下旬から日本にClubhouseという音声のソーシャルネットワーク(SNS)によってだった。
Clubhouseにて「大塚家」のルームを何度か開催。
初対面だった人が、4月に安曇野の「1日内観」に参加するというシンクロが起きた。

統合医療を実践している医師で、全国の統合医療に取り組んでいる医療従事者のグループ(「統合医療実践グループ(パーフェクト睡眠)」)があることを紹介。
定期的にZOOMでオンライン・ミーティングを開催しているらしい。
そこへ、参加したところ、今まで製薬業界で出会ったことのない医療従事者たちの話を伺い、
「是非とも参加したい!」
と考え、松本・安曇野合宿(2021年4月3日(土)〜4日(日))を含め、親睦を深める機会を与えていただいている(「自分の専門外の人たちと親睦を深める機会〜改めて「内観」とは何か?」参照)。

合宿中に発達支援コーチの灰谷孝さんから、
「今までの製薬業界の経験について知りたい!」
という依頼を受け、今回のご縁をいただいた。
改めて、限られたスピーカー枠の中、ご縁をいただいた灰谷さんとグループをまとめている片平さんには感謝したい。

今回のセミナーの題は「製薬業界からみた「薬」と「健康」について知ろう」だった。

1時間で話せるようなスライド構成にして臨み、実際は50分間。
灰谷さんと対談形式でセミナーは進んだ。

「薬とは何か?サプリとどう違うのか?」は、薬とサプリとの違いを、法律の違い、品質の管理の仕方を含め紹介。
薬は危険だが、サプリは安全と思われがち。
しかしながら、実際はその逆で、提出する書類は、サプリに比べ薬の方がはるかに多く審査期間も長い。

売上高に占める研究開発費も、薬とサプリとの間に差がある。
医薬品で20〜30年で、研究開発費は1,400億円。売上高に占める割合は12%。
特定保健健康食品で3〜5年で、売上高に占める割合は3%に及ぶ。

実際、薬の申請書類はトラック一台分という、すごい量になる。

次に話したのが「西洋医学はなぜ世界制覇をしたのか?」だ。

2019年から、コロナウィルスが世界へ蔓延(なんと、死亡者数は、セミナー発表当時で350万人!!)
感染症に対する特効薬の発見が、西洋医学の世界制覇に貢献した。

19世紀末から20世紀の始めにかけて米国では民間医療が主流。医師は力や富もなく地位も低かった。2年間の見習い期間を経て、出来のよい機械工と同じ程度の給与しか得られず、自分で勝手に名乗れば医師になることができた(「代替療法と対処療法」「西洋医学がどのようにして今の地位を築いたのか?〜医師の地位と画期的な薬の出現」参照)。

1910年頃に状況が一変。
石油で財をなしたジョン・ロックフェラーは、石油を材料して作られる薬(低分子化合物、人工的な方法で作られる物質)の可能性を信じて、医療に投資。

米国医学会(American Medical Association、AMA)と組んで、
「法的に定められた医学会によって認定される薬を処方、販売したり治療法を施すこと」
ができる体制を作るために、ロックフェラー医学大学を設立する。

後に、4年間の学部教育を受けたのちに、さらに4年間の大学院の医学部教育を受ける体制へになる。
医師は独占的な職業となり地位も上がった。
代替療法も駆逐され、対処療法が主流になる。

AMAはアメリカで最大のロビー団体となり、医学教育・医師免許・治療法・治療費は全て、AMAが独占する形へと変貌していく。

第二次世界大戦前、「化学」の最先端を走っていたのはドイツだった。
ドイツの大学は実験室の成果を重視し、潤沢な企業の資金も入ってくることで、産学協同で技術を発展させていく。
例えば、肥料(化学合成肥料)や染料に使われる化合物が世の中に出ることで、経済が潤った。
当時のドイツは最先端だったので、アメリカ、イギリスを含め、一流の研究者は、ドイツに集結。

米国は、ドイツをモデルに1876年に研究機関としてのJohns Hopkins大学を設立。Johns Hopkins大学の仕組みを他の大学が参考にして取り入れていく。

薬の処方の仕組みに大きな影響を与えたのが、1930年代に実用化されたサルファ剤=抗菌剤だ。

サルファ剤の開発の経緯は、「サルファ剤、忘れられた奇跡 – 世界を変えたナチスの薬と医師ゲルハルト・ドーマクの物語」(原書:’The Demon Under the Microscope: From Battlefield Hospitals to Nazi Labs, One Doctor’s Heroic Search for the World’s First Miracle Drug‘)に詳しい。

ゲルハルト・ドーマク博士が、染料(アゾ色素(赤色))の一つ、プロントジル(=のちにサルファ剤と呼ばれるようになる)に抗菌作用(連鎖球菌)があることを示した。

この薬は、画期的な効果があったので、世界的に普及。第二次世界大戦では負傷者の命を救うことになる。

不運なことにサルファ剤の薬害事件が発生する。サルファ剤を飲みやすくするために混合された有機物質による死亡事故があいつぎ、何十人もの命が奪われた。

米国のFDAが調査に乗り出し、安全性のデータを含めた形で、薬の審査と承認の仕組みを作っていく(「FDAと審査」参照)。製薬業界についての課題・問題点については「マーシャ・エンジェル「ビッグファーマ:製薬会社の真実」(Truth about the Drug Companies)」に詳しい。
今回の資料を作成する際に、参考にさせていただいた。
ぜひ、チェックください。

サルファ剤は、化学構造が単純だったため、1938年頃には、サルファ剤に対する効果の出ない耐性菌が出現し、現在は使われなくなってしまった。その後、ペニシリン、ストレプトマイシン等、多種多様な薬が世の中に出ることで、医師は様々な治療の選択肢を手に入れることになる。

1951年には、連邦議会は医学の専門知識なしに、安全な薬を購入するとき、医師の処方せんが必要だという法律によって、医師によってのみ扱うことができるように法律が強化。
医師の地位が決定的に高まった。

現在では、非臨床(動物実験)、臨床試験(人による治験)の仕組みが確立。
民間によって開発された、さまざまな薬が世の健康問題に貢献している。

最後に「開発はどのように進むのか?~リスクとベネフィットの考え方」について。
ここでは、「リスク」と「ベネフィット」について話した。
「リスク」と「ベネフィット」については、佐藤健太郎さんの「「ゼロリスク社会」の罠〜「怖い」が判断を狂わせる」に詳しく書いてあるので、ご興味があったら、ぜひチェックいただきたい。

RISKとは、将来のいずれかの時において何か悪い事象が起こる可能性のこと(投資では、良い事象のことが含まれる)。例えば、有害事象、副反応、治療を受けない場合のリスク。

BENEFITとは、治療を受けることによる利益、効果・効能(治療効果)等だ。

コロナウィルスに対する治療薬としてワクチンが期待されているが、マスコミの報道を見ると疑問に思うことがある。
「ワクチンの副反応が危ない」「感染者数はこれだけだ!」といった定性的な情報を伝えることが多く、

「100万人あたり何人が副反応をおこし、それは飛行機事故、自動車事故を含め、どう違うのか?」
「世界から見て、日本のコロナウィルスの患者数はどれだけいるのか?」
「ワクチンの接種率の高い国では、ワクチンの効果はどうなっているのか?」
「コロナウィルスの感染が起きた後の後遺症はどれだけの割合がいるのか?」

といった定量的な情報が伝わってこないことだ。
大事なのは、
「リスクはなんらかの形で計量し、比較して判断すること」
だと思う。

厚生労働省のホームページには「様々な事象の発生頻度」がわかりやすくまとまっているので、ぜひ参考になればと思い、セミナーでもシェアした。

最後に、薬について。
薬の審査は、厚生労働省から委託されたPMDA(Pharmaceuticals and Medical Device Agency)が行う。
そのやりとりは「審査報告書」という「議事録」にまとまっている。
今回のコロナウィルスのワクチンを含め、薬について詳細な情報を知りたい場合には、ぜひ、審査報告書をチェックスすることをオススメしたい。

あっという間の50分。
終わった後に、薬についての学びが深まったという感想を多数いただき、セミナーを開催して本当によかった。
今後とも、リクエストに応じて、こういったセミナーを開催し、場合によっては動画配信も考えている。

コロナウィルスの情報については今後とも配信して行く予定です!

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