1. HOME
  2. ブログ
  3. 分子栄養学・歯科治療
  4. アトピー性皮膚炎・治療
  5. 【N#28】有機酸検査の結果+体質を理解すること:カンジダ菌、シュウ酸、ビタミンB群不足のこと。そこから先は?

BLOG

ブログ

アトピー性皮膚炎・治療 コラム ブログ/全ての記事 分子栄養学・歯科治療 西洋医学

【N#28】有機酸検査の結果+体質を理解すること:カンジダ菌、シュウ酸、ビタミンB群不足のこと。そこから先は?

2019年7月18日、Le Salon De Figueの中村恵理子さん(以下恵理子さん)のサロンにて、札幌市在住のあんどう口腔クリニックの歯科医師の安藤麻希子先生と東京と札幌をZOOMで結び、1時間半ほどテレカンを実施した。

前回(2019年6月26日)の「栄養分析プログラム」結果でわかったことは、
1)胆汁のうっ滞(胆汁の流れが減少又は停止した状態)
2)SIBO(小腸内細菌増殖症、Small Intestine Bacterial Overgrowth)
3)脂肪肝を含めた肝機能低下
の3つだった(「「栄養分析プログラム」の結果+体質を理解すること:胆汁のうっ滞、SIBO、肝機能;糖質制限の向き・不向き」参照)。

2019年7月3日、The Great Plains Laboratory Inc.(GPL)から有機酸検査の結果が到着。
検査結果について、分子栄養学から見た個別のコンサルを受けた。今回は有機酸検査についてまとめたい。

西洋医学では、食事を通じて5大栄養素(炭水化物・脂質・蛋白質・ビタミン・ミネラル)を体内に取り入れ、エネルギーにする。そのエネルギーを使って、生体内に必要な物質を作っていく。

その一連の動き・流れのことを代謝(Metabolism)と呼び、「同化」「異化」の2つがある(「「栄養分析プログラム」の血液検査+有機酸検査について」参照)。

食事からの栄養素は、小腸で吸収され、肝臓で、身体内で利用できる形に加工され、血液を通じて、全身の細胞に送られていく。
そして、細胞では、
栄養素→解糖系→クエン酸経路→電子伝達系→ATP(アデノシン3リン酸)
と進み、人間が使いやすいエネルギー(ATP)が最終的に作られていく。

胃腸で吸収されなかった栄養素は大便として肛門から外へ出るが、小便=尿は、必ず血液を経由して、全て血液から作られる。
腎臓によって濾過され、尿管を通り、膀胱へ。尿として排出される。腎臓は、濾過装置の糸球体を使って原尿を作り、尿細管が働き、最終的に原尿の99%が血液によって再吸収される。ここで、身体に戻す量を調整することで、血液の成分量(糖質、ミネラルの濃度)や血液の量(水分量)が調整される。これらの再吸収については「腎・膀胱について〜エネルギーを蓄える、ストレスに対応、血液の調整等」に詳しく書いた。

有機酸は「同化」と「異化」の2つ段階の途中段階で作られる。又、有機酸は、腎臓から再吸収されることなく尿から排泄されるので、測定しやすい。そのためか、昔(1960年代)からフェニルケトン尿症など遺伝子検査がなかった頃にも使われてきた。

今回有機酸検査を依頼したのが、GPL社。
長年小児の自閉症の研究をしている生化学者のWilliam Shaw博士(以下Shaw博士)が1996年に設立した検査会社で、自閉症、ADHD、線維筋痛症、胃腸障害、神経精神障害等の検査を提供している。
Shaw博士の面白いところは、自閉症と腸内環境との関係に注目したところだ。
小児の自閉症患者は、健常人に比べ腸内環境が荒れており(カンジダやクロストリジウム等が優勢)それを有機酸検査で使って明らかにして、医師とコラボして、抗真菌薬を使って自閉症の治療をしたことで注目された。
ということは、
精神疾患は、腸内環境の問題や代謝の病気
として捉えることができる。

それを尿検査というシンプルな方法で調べる。通常、腸内細菌を調べるためには、便検査や遺伝子検査が必要(「人と常在菌との関係〜常在菌へのアウトソーシング」参照)。しかし、腸内細菌が作る有機酸を調べれば、これらの検査抜きでも調べることができるので有機酸検査は便利だ。

今では、
・ビタミンをどれだけ身体が利用できるか?例、ビタミンB群、ビタミンC、CoAQ10、ビオチン、グルタチオン、アンモニア等
・体質的に糖をどのように代謝されるか?(解糖系、TCA回路、電子伝達系)
・シュウ酸(結石に関わる)の代謝状態は?
・腸内環境(善玉菌、カンジダ、クロストリジウム)はどうなっているのか?
・体質的にどのように脂質を代謝するのか?(ケトン体の産生等)
・神経伝達物質の作りやすさ・作りにくさ(セロトニン、ドパミン、アドレナリン、ノルアドレナリン)
等、75種類の有機酸を一気に調べる。検査では、朝一番の尿から作られる代謝物を逆解析する。

さて、有機酸検査により、腸内環境において、カンジダ菌やクロストリジウムが優勢であることが判明した。
その結果に伴い、以下の5つが結果として出た。

1)シュウ酸が高値で重金属蓄積の問題の可能性
シュウ酸は、動物にはなく野菜に入っている。このため、菜食主義者にシュウ酸が高いと言われているが、私はそうではない。このため、カンジダ菌によって作られると考えられる。シュウ酸は重金属と結合しやすいため、水銀を含めたミネラルが体内に蓄積。結石ができるリスクもある。

2)ドパミンが多く作られている
クロストリジウムの影響でドパミンの産生量が多く、ノルアドレナリンの産生量が少ないこともわかった。ドパミンは、神経伝達物質の一つで、快の感情、意欲、学習などに関わる。一方でノルアドレナリンはストレスに応じて作られる物質。ドパミン多いと、必ずしもいいことだけではない。実は、活性酸素を発生させ、神経系の細胞に悪影響を及ぼす。現に、自閉症の患者さんはドパミンが高いことが知られている。興味深いのは、クロストリジウムが優勢な場合にはドパミンが過剰に作られることだ。私の場合には、微生物の影響によって過剰に作られた可能性がある。

3)ビタミンB群、ビオチン、ビタミンC等の不足
ビタミンB群(ビタミンB2、B6、B12)、ビオチン、CoQ10などが不足している。これは、カンジダ菌が優勢なため、彼らがいきていくために栄養素として奪われている可能性が大。食物からとってもこれらのビタミンは利用できていないことも。ビタミンCは総合的に足りてないのではないかと思う。

4)アラビノースによる低血糖の可能性
アラビノースは、カンジダ菌が優勢になると上がってくる有機酸。インスリンに影響を及ぼし、低血糖を起こす可能性もあるらしい。

5)SIBOの可能性
クロストリジウムが優勢の際には、SIBOの可能性がある。これは「栄養分析プログラム」の結果の裏付けの一つになる。
他にも、解毒物質(抗酸化物質)のグルタチオンが不足している等の指摘があった。他にも幸福ホルモンの一つセロトニンの産生についても調べたが正常だった。

「栄養分析プログラム」と有機酸検査から色々とわかったことが出てきたので、今後以下のような対策をとっていく予定だ。
1)胆汁酸の働きや消化酵素を補うことで腸の機能の回復に努めること
2)カンジダ対策を行うこと
3)腸内環境を整えること(善玉菌を含め)、過剰ミネラルの排出
1)は田辺製薬のウルソで胆汁分泌を促しながら、Digest Gold(消化酵素)、ビタミン(A、B群、C、E)、亜鉛、マグネシウムを補い、腸に負担の大きい、小麦粉(グルテン)、アルコール、カゼイン(牛乳)を避けた食生活を心がける。朝は果物と、油であげたものを避ける等があるが、グルテン、アルコール、カゼインを避けることで、腸が整っていくのではないかと思う。
2)は、腸が整い、ある程度元気になった後、カンジダを除菌するためのサプリメント(Candex、カンジダ除菌用ハーブ)を集中して3週間行う。ダイオフ症状を予防するためシリカ・活性炭を随時補う。
3)は毛髪検査でミネラルの状態を調べたのちに、ミネラル排出プロバイオティクスを補足すること。
このような手順で行っていく予定だ。本コラムでも随時進捗状況について書いていきたい。

最後に、IMAC・ロルフィング・東洋医学からのアプローチも大事にしていきたい。

肝臓、胆嚢と言えば、五行論で言えば木。相生関係にある腎臓・ 膀胱(水)を強め、相克関係にある肺・大腸(金)のバランスを取る方向で進めていきたい。

金も水も呼吸との関わりが深い上に、肝臓は横隔膜に近い。横隔膜に関わる腹横筋は硬くなりやすいので、ここを強化をしつつ。胸腰移行部の筋肉の可動域にも目を向けて、肝臓、腎臓、副腎との関係を大事にしていきたい。特に、腎臓の強化にあたり、ソースポイントのネーベルポイントと、脊柱の前側のラインを意識することは、ロルフィングセッションを提供しているときにもできることなので、意識できればと思っている。

関連記事

【E#237】2021年を振り返って(5)〜Clubho...

【N#150】「デュピクセント」⑥〜全投与終了〜今後、脂...

「脳活講座」(第3期)基礎編・実践編〜Q&A

【N#164】デュピクセントをやめて5ヶ月〜脱ステロイド...

【N#91】「薬に頼らない生き方!」の勉強会を開催〜ミト...

【N#110】「デュピクセント」②〜使用1ヶ月後の経過〜...