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【B#183】コミュニケーション能力が高い人の秘密〜組織と日常を変える3つの対話

はじめに

東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・睡眠・マインドの脳活(脳科学活用)講座を提供している大塚英文です。

コミュニケーション能力については、様々な本が出ている。気になるのは、ハウツー本が多いことだ。実際に、コミュニケーションとは何か?から始まり、どのように改善し、日々の生活に取り入れたらいいのか?について語っている本は少ない。

今回紹介する本は、Charles Duhiggの「Supercommunicator – How to Unlock the Secret Language of Connection」は、コミュニケーション能力とは何か?について答えてくれる。今回は、この本を通じて「コミュニケーション能力」について考えてみたい。

コミュニケーションとは何か?

チャールズ・デュヒッグによれば、コミュニケーションとは単なる情報のやり取りではなく、「相手との接続(コネクション)を築く行為」であるという。

本から引用すると、

“To communicate with someone, you have to connect with them. Our brains have to synchronize to some degree, which is how we absorb what someone is saying and how they understand us in return.”
― Charles Duhigg, Supercommunicators

「誰かとコミュニケーションを取るには、その人とつながる必要がある。私たちの脳はある程度同期する必要があり、それによって私たちは相手の言っていることを吸収し、相手も私たちを理解することができる」

効果的なコミュニケーションにおいては、話し手と聞き手の脳の中で同期が起きる。これは、会話中に脳波や心拍数が一致する現象であり、それによって深い共感と理解が生まれる。

良い会話とは、知識を伝えるだけではなく、相手と「同じ世界を共有する」といってもいい。


3つの会話

デュヒッグは、あらゆる会話は3つに分類できるという。それぞれの会話タイプを見極め、相手と同じモードで話すことが、誤解の回避と信頼構築の鍵となる

  1. 実務的会話(What’s this really about?)
     問題解決や意思決定、情報伝達に重きを置く会話。
  2. 感情的会話(How do we feel?)
     感情の共有や相互理解を目的とした会話。共感が中心となる。
  3. 社会的会話(Who are we?)
     関係性やアイデンティティに関わる会話。立場、役割、所属感などがテーマとなる。

適切に使い分けるには、「自分がどの種類の会話をしているか」だけでなく、「相手がどの会話を求めているか」を見極める観察力と柔軟性が求められる。


日々の習慣として取り入れるべきこと

コミュニケーション能力が高い「スーパーコミュニケーター」の資質は、生まれつきではなく、日々の小さな習慣によって育てることができる。デュヒッグは、以下の4つのHOWを提唱している。

  • 積極的傾聴(Active Listening)
     相手の言葉だけでなく、文脈や背景も含めて注意深く耳を傾ける。
  • 理解のループ(Looping for Understanding)
     相手の発言を自分の言葉で言い換え、正しく理解しているか確認する。
  • 深い質問(Deep Questions)
     「なぜそう思ったのか?」「それはいつから感じていたのか?」といった、感情や価値観に踏み込む質問を行う。
  • 非言語的サインへの注意
     表情、ジェスチャー、沈黙、声のトーンなど、言葉以外の情報を読み取る力を磨く。

これらはすべて「今ここで、相手とどれだけつながろうとしているか?」という姿勢から生まれる行動だ。


組織における成功事例と失敗事例:Candorと共感のバランス

Netflix:率直さと感情的安全の融合

Netflixは、「率直であること(Candor)」を組織文化の核としており、上司にも同僚にも意見を遠慮なく伝えることを奨励する文化になっている。「本人に直接言えないことは言ってはいけない」というルールのもと、360度のフィードバックが日常的に行われている。いわば、実務的会話と感情的会話の高次な融合と言える。

Pixar:創造を支える率直な対話

PixarのBraintrustは、映画制作において率直な批評が飛び交う会議。上下関係を超えてアイデアにフィードバックを行うこの仕組みは、社会的会話の中で率直さを発揮することに価値を見出している。批判が前提ではなく、「より良くするために互いに貢献する」姿勢が実務的な会話につながると考えている。

Google:心理的安全性を通じた対話

Googleが実施した社内調査によると、高パフォーマンスのチームに共通していたのは「心理的安全性」であった。チーム内での率直な発言が許容され、失敗しても非難されない環境が、創造的な会話を可能にした。相手と同じ世界を共有を促す文化でもあり、コミュニケーション能力が育つ理想的な土壌になる。

Bridgewater:Radical Transparencyの功罪

Bridgewater Associatesは「徹底的な透明性(Radical Transparency)」を掲げ、すべての会議を録音・録画し、社員が互いに率直なフィードバックを行う文化を構築している。実務的会話におけるCandorの極地ともいえるが、この文化を支えるには、高い論理力と感情の安定性が求められる。

このコミュニケーションが成功するには、率直さに加え、深い共感力が不可欠となる


結語:スーパーコミュニケーターは「会話の意図」を読み、つなげる存在

デュヒッグはこう述べている:

“The most important thing a good communicator does is recognize what kind of conversation they’re in — and then match it.”
― Charles Duhigg, Supercommunicators

「優れたコミュニケーターが最も大切にしているのは、“今、自分がどの種類の会話にいるのか”を見極め、そこに合わせることだ」

この能力は、特別な技術ではなく、会話の構造を理解し、相手との関係性に注意を向ける姿勢によって誰にでも育まれる。Netflix、Pixar、Google、Bridgewaterといった先進的な組織では、こうした対話の技術が文化として根づいており、創造性や信頼、学習能力を支えている。

コミュニケーション能力は、才能ではない。日々の習慣と意識の選択で身につくと言える。

まとめ

今回は、個人や組織においてどのようにコミュニケーション能力を高めていったらいいのか?Charles Duhiggの「Supercommunicator – How to Unlock the Secret Language of Connection」を参考にしつつ、紹介した。

少しでもこの投稿が役立つことを願っています。

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