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【N#154】老化はどのように進むか?3種類の運動をバランスよく〜長寿との関係

はじめに

こんにちは!東京・渋谷でロルフィング・セッションを提供し、脳科学を活用して健康寿命を延ばす方法を発信中の大塚英文です。

人生100年時代を迎え、定年も延びそうな時代。どのようにして、若さ、健康を保ちつつ、「健康寿命」を延ばして行くのか?海外を中心に話題になっており、「長寿(Longevity)」は一つのキーワードになっている。

「老化」は、どのように進行するのか?過去に、老化と内臓との関係(前々回)と内臓脂肪との関係について(前回)取り上げた。今回は、運動との関係についてシェアしたい。

「運動」といっても、何をしたらいいのか?

「運動」は「長寿」において、最も効果の高い薬として知られている。

しかも、「運動」については
1)多くの症例がある
2)データに再現性がある
3)やればやるほど、長生きできる
4)作用機序が明確
といった、エビデンスも多数知られている。心疾患(心筋梗塞)の予防、糖尿病、脳卒中に対する死亡率も下げることもできるし、心肺機能、免疫の働きの強化、骨の強化といった様々な利点が挙げられる。

一方で「運動」は何をしたらいいのか?突然ジムに申し込み、トレッドミル、マシーンウェイト、フリーウェイトといった器材が揃っている中、何を選択したらいいのか?「運動」をしたことのない人は迷ってしまうと思う。

個人的には、「運動」は、
1)有酸素・持久系(aerobic endurance/efficacy)
2)筋力・抵抗運動(strength/resistance)
3)姿勢の安定性(stablity)
の3つに分けると理解が深まるのではないかと考えている。

そこで、今回は、具体的なトレーニングの方法よりも、それぞれの運動が長寿とどう関係あるのか?を中心にまとめたい。

有酸素・持久系〜長寿との関係、最大酸素摂取量

運動は、筋肉を動かすことで行われる。中でも、呼吸で入ってきた「酸素」を、どのように筋肉に送り込むか?そして、筋肉が酸素をどう取り出して、運動に繋げるか?が重要で、有酸素・持久系の運動で鍛えることができる。

「酸素」を使ってエネルギーにしていくためには、細胞の中にある、ミトコンドリアと呼ばれるエネルギーを作る装置を稼働することが必要。逆に、ミトコンドリアが元気になれば、脂肪と糖質の両方を使える身体、すなわち、代謝の柔軟性(metabolic flexibility)を手に入れることができる。結果として、脂肪を燃焼しやすくなり、内臓脂肪の蓄積、炎症、酸化ストレスに対処できるのだ。

筋肉が酸素を取り込む能力は、最大酸素摂取量(VO2 MAX、単位はmL/kg体重/min)を使って測定する。実は、市販されているスマートウォッチでほとんど測定可能。厳密に測定する際には、マスクをしながら研究室で行う必要がある。VO2 MAXとは、走るスピードを上げていった時に身体は酸素を摂取するが(酸素摂取量と呼ぶ)、息が上がった状態の最大酸素摂取量のことを言う。

ちなみに、45歳の平均男性は、VO2 MAXが40で、エリート持久系のアスリートは、60以上。30代から40代で、運動していない人は、20まで低下。何と!坂を走ることができないほど、持久力が低下する。VO2 MAXが低ければ低いほど、死亡率が上昇、逆に高ければ高いほと、死亡率が減少する。いいニュースは、有酸素運動によって、VO2 MAXは鍛えられるのだ。

日本人の平均の値については、厚生労働省:「健康づくりのための身体活動基準2013」にデータが公開されているのでチェックしてください。参考に、ハイキングをするには、最低でも30は欲しい。

有酸素・持久系(バイク、走る、ボード漕ぎ等)で、VO2 MAXを鍛えると、慢性疾患の予防、ミトコンドリアの働きの向上、持久系が鍛えられるので、仕事の持続力にも好影響を及ぼすといったプラス面が指摘されている。

筋力・抵抗運動〜長寿との関係、握力

筋肉量(muscle mass)自体、長寿と関係が深いことが明らかになりつつある。死亡リスクは、筋肉量が小さい場合は、40-50%(対照群比)、筋肉量が小さいAND/OR筋力の低下、メタボリック症候群の場合は300-350%といったことまで報告されている(10年、4,500症例の観察研究)。

筋肉量が低下すると、転倒しやすいが、65歳以上で転倒による骨折リスクが高まり、骨折をしたら、その年に15-36%の方が死亡する可能性が高い。骨を支える筋肉(骨格筋)は、筋肉量と密接に関わっているからだ。それだけではない。筋肉量を増やす意味としては、どれだけ重い荷物を持てるか?にもつながっている。これには握力、押す力、腰を動かすを含め、耐久力が必要だ。

そこで、ここでは筋力を強化するために、自体重、ダンベルを使って、その重さに抵抗するように、筋肉のトレーニングを行う。それが筋力・抵抗運動。では、筋肉量はどのように調べたらいいのか?

筋肉量は、簡易型の体重計で骨格筋量を調べることができる(「内臓脂肪+増やさないためにできること」参照)が、握力を調べる方法もある。握力は、簡易型の握力測定器を入手して調べる方法もあるが、もっと簡単な方法は、鉄棒にぶら下がり、何秒間その姿勢を維持できるかで判断できる。40歳の男性で2分、女性で90秒、ぶら下がったらOK。この時間は年齢とともに減少していく。

姿勢の安定性〜長寿との関係、背骨の動き〜ボディワーク、ヨガ、ピラティス

姿勢の安定性は、怪我を防止するために、どのように身体を動かすのか?自分の身体を改めて見直し、ご自身で再教育するという意味を持つ。上記に書いたように、転倒防止にもつながるし、有酸素・持久系、筋力・抵抗運動の基礎となる。

実際、45歳以上のアメリカ人で27%の方が慢性痛に悩んでおり、10-12%は活動が制限されるまで重症になっていることが知られている。しかも、21世紀に入り、痛み止めの依存性の強いオキシコンチン(ヘロインと似た薬効がある)が大量に処方され、オピオイド中毒がアメリカ全土に蔓延。アメリカでは社会問題になってしまっている。

個人的には、姿勢の安定性は背骨がしっかりと動き、安定していることが重要だと考えている。どのように背骨を一本一本動かしていくのか?中心軸を意識するか?ヨガ、ピラティスの目標は、背骨の動きの向上につながっている。さらにいうと、私の提供しているボディワークの一つロルフィングも背骨の可動域を広げることで、姿勢が安定、怪我の防止につながっている。

まとめ

今回は、運動には3種類があり、それぞれ長寿とどのような関係があるのか?まとめさせていただいた。

これらの特徴を知った上で、自分の目的は何か?例えば、筋力UPなのか?体脂肪を減らしたいのか?見た目を良くしたいのか?バランスよく3つを使い分けることが重要だと考えている。

少しでもこの投稿が役立てれば幸いです。

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