1. HOME
  2. ブログ
  3. ブログ/全ての記事
  4. コラム
  5. 西洋医学
  6. オーソモレキュラー/栄養学
  7. 【N#71】「ビタミンって本当に役立つの?②」〜ビタミンA/D編〜脂質の消化・吸収の理解が先決、どうとるか?コロナウィルス対策として、免疫を働かせるため:セミナー開催報告

BLOG

ブログ

オーソモレキュラー/栄養学 コラム コロナウイルス/感染症 ブログ/全ての記事 西洋医学

【N#71】「ビタミンって本当に役立つの?②」〜ビタミンA/D編〜脂質の消化・吸収の理解が先決、どうとるか?コロナウィルス対策として、免疫を働かせるため:セミナー開催報告

こんにちは!東京・渋谷(恵比寿)でロルフィング・セッションと栄養・タロットカウンセリングを提供している大塚英文です。

6月15日(火)、サプリで最も使われている「ビタミン」をテーマに初心者もわかりやすく紹介するセミナー「「ビタミンって本当に役立つの?②」〜「ビタミンA、D編、水と油の違い、コレステロールと免疫との関係について」を開催した。

前回(5月26日(水))に水溶性ビタミン(ビタミンB群とビタミンC)を取り上げたので、今回は脂溶性ビタミンを取り上げた。
ビタミンBの内容は
「ビタミンって本当に役立つの?」〜ビタミンB編(前半)〜薬との違い、精神病との関係:セミナー開催報告
ビタミンCの内容は
「「ビタミンって本当に役立つの?」〜ビタミンC編(後半)〜世界一周、ビタミンCを作らない人間、どれだけ必要か?:セミナー開催報告
にそれぞれまとめたので、ご興味がありましたらチェックください。

脂溶性ビタミンは、油に溶けて水に溶けない、油=脂質の一種。
水に溶ける水溶性ビタミンは、血液が水ということもあり、簡単に消化・吸収できる。
一方で、脂溶性ビタミンは、血液に溶けないので、工夫が求められる。
「どのようにして脂質は、消化・吸収され、血液に運ばれ、細胞まで届けられるのか?」
の基本を学ぶことで、ビタミンAやDの摂取の仕方の理解が深まる。

今回のセミナーのアジェンダは以下の5つ。

・水と油の違いについて
1)水は固まりやすい性質を持つ(水素結合でつながっている)こと
2)水の中にある水素はプラス、酸素はマイナスにそれぞれ電気的に分極しているので、イオン化された物質は溶ける
3)脂質は、イオン化されていないので、水の中では馴染まず、溶けない
を紹介。

血液(水)に溶けない油は、血液中に運ばれ、細胞まで届けられるためには、水と油に溶ける「胆汁酸(界面活性剤)」や「蛋白質」(いずれも油と水に溶ける)の力を借りて(結合して)運ばれることを話した。

胆汁は、食事を取ってから1時間をピークに肝臓の胆のうから十二指腸へ分泌されるが、
胆汁の中にある界面活性剤の胆汁酸が、食事から取り入れた油を水に溶けやすいように働く。
例えていうならば、油と水が溶けているような「マヨネーズ」や「牛乳」のように。

脂質は胆汁によって乳化(ミセル)され、小腸で吸収。
最終的に、肝臓に運ばれる。

セミナーでは、口腔、胃、十二指腸、小腸、肝臓、大腸の順番に、消化・吸収の基本を紹介。
興味深いことに、小腸から肝臓へ運ばれる際に、蛋白質(リポ蛋白)の助けを借りて、目的地に送付される。

このように考えると
脂質が消化・吸収されるための条件として
1)胆汁:胆汁が十分に作られること(→最終的に小腸で吸収されるため)
2)コレステロール:十分なコレステロールが身体内にあること(胆汁の原料になる)
3)蛋白質:身体内の蛋白質が十分にあること(血液中に脂質が運ばれない)
4)胃酸:蛋白質が十分にあるためには、胃酸がしっかりと分泌されていること(身体内で蛋白質が利用できない)
が挙げられる。

要は、単に脂質をとったからでは、ダメで、
血液検査で
・胃酸の値はどうか?
・コレステロールの値は大丈夫か?
・蛋白質は十分に利用できるのか?
等を見た上で、脂質が栄養になるかどうかがわかる。

この知識があると、
ビタミンAやDの血中濃度が低い人は、蛋白質やコレステロール、胃酸の値が低い可能性があり、いくらサプリで取り入れても、すぐに上がってくるわけではない。

2020年10月から、分子栄養学に造詣の深い、ナチュラルアートクリニックの院長の御川安仁(みかわやすひと)先生にお世話になっている。
御川先生によると、ビタミンAやビタミンDが上がってくるためには、年単位でサプリを飲み続けることが必須とのことだ。
興味深いのは、
1)ビタミンAは亜鉛、ビタミンDはマグネシウムの力がないと、血液中に運ばれにくくなること
2)ビタミンAとビタミンDは、共同で働くこと
等から、何事もバランスよく取ることが求められる。

このような話題を紹介しながら、食事やサプリの取り方について話を進めた。
例えば、ビタミンDは、
1)食事
2)紫外線(UV-B)
3)サプリ
の3択がある。

食事や紫外線だとMAXでも1,000 IUしか取れない。その上、紫外線は夏に強く冬は(オゾン層により)その1/4から1/10とも。
やはり、効率がいいのは、サプリでビタミンD3を取ることだ。MAXで10倍(10,000 IU)取れる。

十分にビタミンDが身体内に吸収されたかどうかは、血中濃度で判断できる。
ぜひ興味がある方は、分子栄養学を専門とするクリニックでチェックいただくことをお勧めしたい。

ビタミンDは、病院で、血中のビタミンD(25OH)とビタミンD(1, 25OH)の2種類を測定することができるが、前者の(25OH)の値が重要。ただし、残念なことに、保険適用になるのはビタミンD(1, 25OH)の方だ。

国内の疫学調査により、日本人の3割(男性)、6割(女性)はビタミンD不足(ビタミンD(25OH)が20ng/mL以下)になっている。

斎藤糧三さんの「サーファーに花粉症はいない」によると、以下のように、ビタミンD血中濃度に関連した疾患はたくさんあるという。

ビタミンDは、コロナウィルスの感染症の重症化、入院、死亡を抑えることが知られるようになり(40ng/mLまで来ると、抑制される)、注目されている。

ぜひ、コロナウィルス対策を取る際には、ビタミンDを取ることをお勧めしたい(その際は、ぜひ油がしっかりと消化・吸収できるか、チェックを忘れずに!)。

ここで、私自身の経験をシェアしたい。
・2019年6月5日:20.0 ng/mL
・2020年10月23日:63.0 ng/mL
・2021年6月8日:78.4 ng/mL
の値で推移。
2019年6月から2020年10月にビタミンD3、10,000IUを定期的に摂取。
2020年10月からビタミンD3を毎日10,000 IUを取った。
地道に取ると、徐々に値が上がっていくのがわかる。

参考に、ビタミンD3を21週間、1,000 IU、5,000 IU、10,000 IUの3つの量で毎日取った時の血中濃度もデータとして出ている(下記の図参照)。意外と時間がかかるのがわかっていただけると思う。

ビタミンAは、ビタミンDと共同で働くと言われているので、ビタミンAの血中濃度もあげておく必要がある。
食事で十分にビタミンAが取れるが、サプリでももちろん取ることもできる。

今回のセミナーは、ビタミンA、D、マグネシウム、亜鉛の取り方だけではなく、脂質の消化・吸収を促すためにどうしたらいいのか?を含め、紹介させていただいた。
参加者からは、「脂質の消化・吸収についてよくわかった!」「血液検査の理解が深まった」といった感想をいただいたのがありがたい。
もし、この投稿を読んでいただき、ご興味がある方がいらしたら、このテーマは再度取り上げる予定なので、時々ホームページをチェックください。

次回(2021年7月20日)は、「ミネラル」をテーマに初心者もわかりやすく紹介するセミナーを開催予定だ。
イベントページに公開中(「「ミネラルって本当に役立つの?①」:2021年7月20日(開催)〜ミネラルとは何か?ヒトの身体でどう働くか?消化・吸収と取り入れ方」参照)ので、ご興味がありましたらお問い合わせください。

関連記事

【N#94】栄養療法開始から1年3ヶ月〜ホモシスティンの...

【N#78】「相手の身体の状態を理解し、的確な栄養や食事...

【T#56】第12回・タロット交流会の開催の報告〜タロッ...

【N#56】分子整合栄養医学って何であり、どのように発展...

【P#45】「ビタミンD3」とコロナ〜感染症に対処するた...

【N#137】睡眠は何に役立つのか?〜記憶の定着、食欲、...