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【P#39】新型コロナウィルスへの対処の方法(4)〜手洗いに石鹸かアルコールか?皮膚の常在菌との関係で見るといいです

新型コロナウイルスが昨年12月に報告されてから3ヶ月。

Johns Hopkins Universityのデータ(2020年4月6日現在)によると新型コロナウイルス感染者数は約128万人。日本も明日には非常事態宣言が出るとも言われ、まだまだ流行が続きそうだ。

さて、今回取り上げたいのが消毒。
新型コロナウイルスを予防するために、手洗い・うがい・マスク着用の3つが推奨されている。
うがいは、喉の粘膜にウイルスが付着して感染するから。。。
マスク着用は、飛沫感染があるので、その予防の意味から。。。
の2つはわかりやすい。

一方で、手洗いは石鹸がいいのか?アルコールがいいのか?最近、店頭にアルコールの売り切れが続出していていて、気になる方はいらっしゃると思う。
個人的には、
新型コロナウイルス予防には、
石鹸(出来たら合成石鹸よりも天然・無添加の石鹸)を使い、ゴシゴシ洗うのではなく、予め石鹸を泡立てた上で、汚れを浮き立たせて洗い流す方法
がいいのではないかと勧めている。
なぜならば、アルコールや石鹸を使ってゴシゴシと手洗いすると、手が荒れるリスクが高まるから。

その理由についてまとめたい。
手洗いを考える際に、皮膚と皮膚にある常在菌を意識することが大事だ。
皮膚の基本的な構造は、皮脂線、汗腺、表皮(角質層)と真皮の4つからなる。
1番外にある表皮から、皮脂(油に溶ける成分=皮脂線から分泌)、汗(水に溶ける成分=汗腺から分泌)が出ている。
面白いのは「常在菌」の働きは、皮脂と水が混ざったものを栄養とし、皮膚のバリア=弱酸性の環境を作ることだ。
まるで腸の環境を整えるのに、腸内細菌が必要なように、皮膚の環境は皮膚の常在菌を必要とするのだ。

このように「手洗い」は何がいいのか?
を考える際、
「皮膚の常在菌が如何に住みやすい環境を皮膚に整えさせるか?」
がポイントとなる。

その点からアルコールと石鹸をみよう。
普通、アルコールといえばエチルアルコール(エタノール)のこと。そのまま使うとすぐに蒸発。殺菌効果がないので、通常アルコールを水で70%〜80%に薄めて使う。
アルコールは、油に溶ける性質を持つ。この為、脂質から構成される細胞膜への浸透が強く、殺菌する速度は他の殺菌剤よりも強力といわれ、大部分の細菌とウイルスに有効だ。
特にコロナウイルスやインフルエンザはエンベロープという構造を持つウイルスに対して作用するので、手洗いに有用だ。一方で、アルコールは石鹸と違い、泡立ててることができないので、常在菌を殺菌してしまうリスクが高い。結果、皮膚バリアに影響を与えることになる。

石鹸はどうか?
合成の界面活性剤=合成石鹸(界面活性剤とは、油と水を混ぜることのできる物質。石鹸も界面活性剤の一つ)は、表皮=角質層を溶かす作用が強いので、アルコール同様、バリア機能を低下させる可能性が高い。
天然の石鹸は通常、弱アルカリ性だが、水で薄めることで中性に傾き活性を失いやすい。なので、短時間でクレンジング(意味については後述)すれば、汚れのみを取り去るアイテムとして適している。
そして・・・
何と、常在菌は石鹸カスの脂肪酸を代謝できる(元々、皮脂の脂肪酸をエサにしている)ため、洗い残したらがあっても2時間ほどで肌を弱酸性に戻すことが可能だ。
残念なことに、石油産業が勃興した戦後は石油工業を中心とした生産コストが抑えられる化学合成の技術が普及。短時間でごっそりと汚れ(汗、過酸化脂質、メイク、埃など)落とすために、石鹸に界面活性剤を入れる合成石鹸が出るようになった。
石鹸を使った手洗いには、
1)ゴシゴシ洗い=ゴシゴシ石鹸を手に強くつけて洗う方法
2)クレンジング洗い=石鹸を予め、泡立てる。石鹸の泡を撫でるようなイメージで汚れ(皮脂)を浮き上がらせて、洗い流す方法
がある。
ゴシゴシ洗いは、皮膚の表皮の細胞に影響を与える。結果、バリアが破壊され、肌荒れを起こす。おまけにバリアが復活するのに時間がかかる。
クレンジング洗いは、短時間であれば、汚れ(ウイルスや雑菌)のみを取り去り、洗い残しがあっても、2時間ほどで肌を弱酸性に戻す=皮膚のバリアを戻すことができる。
アルコールの場合には、浸透が強い為、結果的に、ゴシゴシ洗いに似たようなものになる。
今回は、手洗いについてスキンケアの視点から書いた。新型コロナウイルスやインフルエンザや大部分の細菌に石鹸のクレンジング洗いは有用なので、ぜひ「常在菌」の視点から手洗いに注目していただきたい。

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