【B#165】栗山英樹著・小松成美構成:育てる力を読んで〜
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はじめに
東京・渋谷でロルフィング・セッションと脳科学から栄養・睡眠・マインドの脳活(脳科学活用)講座を提供している大塚英文です。
知人の斎藤りゅう哉さんが長年勤務していたサンマーク出版の退社を決意。2024年7月6日(土)、恵比寿のガーデンプレイスのROTISSERIE★BLUEで『斎藤りゅう哉 独立記念と「ご縁に感謝」の会』を開催したので、スタッフの一人として参加させていただいた。
りゅう哉さんのイベントの参加者の中に、何と、ノンフィクション作家の小松成美さん(以下小松さん)が参加され、幸運なことに、お話しする機会があった。そのご縁もあり、栗山英樹著、小松成美構成の「育てる力」を手に取った。今回のブログでは、小松さんの作品との出会いの経緯を含め紹介できればと考えている。
ノンフィクション作家・小松成美さんの作品との出会い
私にとって小松さんといえば、サッカーの中田英寿選手のインタビューのイメージが強い。
過去に小松さんの本を4冊(「中田英寿鼓動」「中田英寿誇り」「イチローオンイチロー」「勘三郎荒ぶる」)手に取った中で、中田選手って、マスコミ嫌いで有名で、なかなか肉声を聞き出すのが難しい存在の一人だった。一方で、中田選手が現役だった頃、最もサッカーを観戦していたこともあり、すごく興味を持っていた。
今や、ヨーロッパサッカーで活躍する日本人選手は、すごく増えてたが、2000年初期、ビッククラブで活躍していたのは、中田選手と言っても良く、パイオニア的存在。
中田選手が、どのように心を整え、ストレスに立ち向かい、成果を上げていったのか?スポーツ選手の内面の変化に興味を持っており、小松さんは、中田選手の心を開き、うまく内面を引き出していたのに驚いた。
その後、小松さんが、有名人に対してどのように対話したのか?にも興味を持つようになり、2012年に「対話力 私はなぜそう問いかけたのか」も手に取った。
「ライターの仕事は、人の心のうちにある言葉をインタビューによって掘り起こし、自分が得た感激を文章にして読者に届けることです」
「よりよいコミュニケーションは、特別なテクニックによって成立するわけではありません。尊敬や誠意を表すマナー、情念や憧憬や好奇心といった心の熱が伝わったときに、それを感じた人の心が、対話、会話を弾ませていくのです」
実際、中田選手とのインタビューでは、何でも質問に答える姿勢があったと対話力にあり、心がけ次第で、人は心を開くのだと「対話力」を通じて知ることができた。
対話力を手に取ってから12年後に、りゅう哉さんのパーティで小松さんと出会い、せっかくのご縁だったので、今度は、小松さんによる構成本で、野球監督の栗山英樹さん(以下栗山監督)の「育てる力」を手に取ってみた。
栗山英樹監督と「論語と算盤」〜読んだ感想を含む
なぜ、栗山監督の本を選んだか?その理由は、監督人生に影響を与えたのが、渋沢栄一さんの「論語と算盤」と書いてあったこと。私もバイブルとして時々この本を読んでいるので興味を持ったのと、メジャーリーグで活躍中の大谷翔平選手をどのように育てたのか?関心があったからだった。
実際、「育てる力」を読むと、栗山監督がどのように渋沢さんの考え方を取り入れていったのか?がわかりやすく紹介されている。
渋沢さんの考え方の素晴らしい点は、市場経済は、強いものが勝ち、利益を得ることがが一般的な考えだが、自分の利益ばっかり考えていると、共倒れになると捉えたところだ。他者の利益を考え、弱き者を庇ってこそ、世の中は繁栄するのだと、考えたことだ。
おそらく、栗山監督は、監督人生の中でいろいろな本を手に取った中で、渋沢さんの、モラルを大事にするという考えが心に響いたのだと思う。
不安や迷いこそ勇気をうみ、挫折こそが人の力を育み、敗北という手痛い経験こそが叡智を授け、決して曲がらぬ志こそ、勝利をもたらすこと。
と「論語と算盤」を読んだ感想を「育てる力」の中に紹介している。
野球の監督をしていた時代、渋沢さんの考え方が、一つの目指す場所を教えてくれるのでないか、野球にも応用できるのではないかと考え、選手の強みを引き出し成長させるためのコーチングや組織づくりのベースになる。
例えば、自分らしさを持っている人間が一番強い。人の話を耳を傾けられる人が、結果を出す人だ、上から押さえつけられても、人は成長するものだ。等が「論語と算盤」の引用とともに語られているのが興味深い。
栗山監督は、大谷選手には、渋沢さんの「論語と算盤」だけではなく、中村天風さんや稲盛和夫さんの本も渡したそうだ。
大谷選手が、日本ハムで栗山監督と出会い、メジャーリーグで、ずば抜けた成果を上げているだけではなく、みんなに好かれているという記事を拝見するに、「育てる力」を通じて、どのように人格を形成していったのか?ああ、なるほど、このように育てられたから、今の大谷選手の人格があるのだ。と納得できた。
普段ならば、このような本はあっという間に読み終えるのだが、「育てる力」は味わい深い本だった。そのため、2週間かけてじっくりと読み、感想をまとめるのに時間のかかる作品だった。久々に、自分の人生について考えさせられ、栗山監督の内面を知る旅をしているような気分だった。
このような本を世に出していただいた、栗山監督と小松さんには、感謝です。ぜひ、自分の人生の指針となる考え方を探している方、コーチングで、相手の強みを引き出すのに苦労している方、組織をつくりたいと考えている方にお勧めしたい本だ。
まとめ
今回は、栗山英樹著、小松成美編の「育てる力」についての感想、どのようにして小松さんの本と出会ったのか?を中心にまとめさせていただいた。
少しでも、この投稿やみなさんに役立つことを願っています。