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【P#37】新型コロナウィルスへの対処の方法(6)〜ワクチンの開発状況、承認されたPfizer/Modernaのワクチンの特徴と課題について

新型コロナウイルスが昨年12月に報告されてから1年が過ぎた。前回、現状について「欧米に比べ、日本は患者数が少ないのに国は警戒感を強めているのか?」に書いた。

コロナウイルスに対して、どのように治療していければいいのか?製薬会社を中心に開発の取り組みが行われている。

なぜ、ワクチンは効果があると信じられているのか?

そもそも、

「過去のどのようなワクチンが作られ、開発していくために何が必要なのか?」「ワクチンがいつできるの?」

にばかり関心が集まり過ぎており、
本質的なところ、
「ワクチンって何からできているのか?」
という視点が抜けているという印象がある。


メレディス・ワッドマンの「ワクチン・レース」には、60年代に熾烈なワクチン開発競争に目を向けて、

「ポリオワクチン、狂牛病、風疹ウィルス等、どのようにして開発をし、アメリカの薬の審査当局(FDA)がどのように対処したのか?」

医師の資格を持つ著者が入念な取材のもとまとまっている。

ワクチンを作るには、

「生きている」ウイルスの活性を弱くする(弱毒化、無毒化)ことで、患者に病気を起こさないようにしなければならない

のと同時に、
ウィルスに対して免疫を働かせる
一見矛盾することをしなければならない。

それに加え、
ウィルスは、細胞の中でしか生きることができない。

そのために、
「ウィルスをどの細胞で育てるのか(アヒル?サルの腎細胞?ヒト細胞?)?等」
興味深かったのは、当時、最も信頼されていたのが、ヒトの胎児から取られた細胞だった(何と、中絶した妊婦さんから取られた細胞を試験管内でウィルスとともに育ていて、今でも胎児由来の細胞が使われている)。

なぜならば、動物細胞の中には、ヒトにも感染させる動物性のウィルスが混ざっている可能性がゼロではないから(例えば、サルの腎細胞には、発がん性のあるSV40が混ざっている可能性あり)。その点、胎児が生育する子宮の中はウィルスの感染から守られており、感染リスクが非常に少ない(しかし、欧米特有の中絶は倫理的な問題があるので、一筋縄では行かない)。

ワクチン・レース」を読むと、どの細胞を使うのか?どうやってウィルスを弱くするのか?
さらに、ウィルスに対して免疫活性をどのようにして、上げていくのか?他のウィルスが混ざっていないか?その上で、安全性をチェックすることを考えると、如何に1からワクチンを作るのが難しいか?製薬会社や承認をする審査当局の苦悩を感じさせる。

では、このような経緯で作られたワクチンに効果があったのだろうか?

実際、’Our history is a battle against the microbes: we lost terribly before science, public health, and vaccines allowed us to protect ourselves‘にデータが紹介されている(下記の図を参照)。天然痘(上)、ポリオ(中)、麻疹(下)をみると、いずれも、ワクチンの投与前後で、劇的な効果が見受けられる。

このようなことから、コロナウイルス対策で「ワクチン」がいちばん期待されている。では、今、コロナウイルスでどのようなワクチンが開発されているのか?NY TIMESのCoronavirus Vaccine Trackerには、製薬の各開発段階で残っている候補が公開されている。

2020年12月12日現在、57種類のワクチンが臨床試験に入っており、15種類が最終段階(Phase III)に入っている。参考に、動物実験段階では、86種類のワクチンの研究が進められている。

最近、話題になっているのが、PfizerとModernaのワクチン。それぞれのHPで報告されているところによると、臨床試験で90%の効果が認められたのことで、安全性の問題もそれほど深刻なものがなかったとのこと。ただ、長期的な安全性については、様子を見ていかなければならないので、先行して行われる米国と英国でのワクチン接種がどうなのか?見守っていく必要がありそうだ。
PflzerとModernaが採用している新型コロナウイルスのワクチンは、mRNAワクチンである。

なぜ、mRNAのワクチンなのか?

理由は簡単で、一番早く開発することができるからだ。

さて、細胞には細胞核があり、そこに遺伝情報(DNA、ゲノム)が格納されている。そこから一部の情報を読み取り(mRNAの形)、細胞核外へ届けられ、細胞質内の蛋白質を作るリボソームで蛋白質になることで、遺伝子が働くと言われている。
新型コロナウイルスが人に感染する際に関わっている情報(スパイク蛋白)を改変(変異)させたものをmRNAとして使い、脂質ナノ粒子で覆う。これは、mRNAを細胞の中に届け、蛋白質を作り出すための一つの工夫で、製薬業界では、Drug Delivery System(DDS、薬を輸送するシステム)と呼ばれる。

細胞内で、取り込んだmRNAからコロナウイルスのスパイク蛋白が作られ、細胞の表面に蛋白質が出てくる。それを免疫細胞が抗原として認識すれば、免疫が成り立つというわけだ。

厄介なのは、mRNAも脂質ナノ粒子、いずれも不安定なところ。2003年まで、研究室で遺伝子の研究を行っていたが、人から出る唾液だけでもmRNAは分解されてしまうため、扱うのに、手袋、マスクを使って実験を行う。また、脂質ナノ粒子は、室温で分解されてしまうので、保存温度(Pfizerが-80度、Modernaが-20度)が重要となる。

医療機関へワクチンを輸送には、-80度や、-20度の冷凍庫が必要となるが、はたしてそれは可能なのだろうか?という課題もある。

Temperature concerns could slow the rollout of new coronavirus vaccines‘によれば、Pfizerのワクチンは、米国(ミシガン州)や、ベルギーに、200-1000バイアルの入ったワクチンをドライアイスで提供。薬局や病院で、15000米ドルの-70度の冷凍庫がない場合には、5日に一度ドライアイスを補充すれば、2週間保管可能とのこと。そして、一度ドライアイスから冷蔵庫へ移すと5日間持つらしい。

Modernaのワクチンは、-20度で6ヶ月保管可能、冷蔵庫で30日間保管できるらしい。

PfizerやModernaのワクチンは、試行錯誤の繰り返すことで世の中へ普及していくと思うが、大事なのは、正確な情報をどこから入手するかだと思う。今月から接種が始まるので、事態がどうなるか、情報収集に当たりたい。

一方で、本当にワクチン以外に、治療方法はないのか?ビタミンやミネラルの効果はウイルスに対してどうなのか?別の機会にまとめてみたい。

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