中国古典のセミナー、史記 項羽と劉邦
昨日、守屋洋先生のセミナー(守屋洋東洋思想塾)に参加してきました。月一回のセミナーで、一回ごとに中国の主要な古典を紹介するというもので、今回が第四回目。友人からの紹介で初めて参加しました。
今まで、中国古典と言えば、伊藤肇さんの本や安岡正篤さんの本が有名で、私も何度か彼らの本は読んできた。中でも、伊藤肇さんの下記の本は何度か読み返し ています。その本では、史記をはじめとしてなぜ、中国古典は「人間」について考察を加え、イデオロギー抜きにありのままの人間の姿を描いているのか詳しく 書いています。
人間的魅力の研究 (日経ビジネス人文庫)/伊藤 肇
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さて、今回のテーマは史記の有名な項羽と劉邦の戦いについて守屋先生から説明があった。秦の始皇帝が滅んでからわずか8年間の間に項羽と劉邦の戦い及び、 劉邦が天下を取るまでの間のストーリーなのだが、戦う上での戦略、人を動かすためにはどういったことが必要なのか、いい死に際とはどういうものなのか?な ど司馬遷の文章のシンプルさに改めて面白さを感じました。しかも、守屋先生は非常に分かりやすく、丁寧に一つ一つの事実を述べているので本当面白かった。
項羽の方が劉邦よりも軍事的にも能力的にも高かったのに、しかも劉邦が負け続けていたのになぜ、劉邦が勝てたのか?史記では、いろいろと書いてあるが(詳 しくは学んだことのメモを参照ください)、私が面白いと思ったのは、部下をうまく使うことと、成功報酬を弾むこと。劉邦は、一人で物事を決定せず、必ず周 りの人と協力し合う大切さを知っていた。そうして周りの人間から知恵を拝借することで、成功していった。
私も、企業の中にいて、人と仕事をするときにぜひとも、人の言うことを聞くことと、成果は周りと一緒に分かち合うことは大切にしていきたい。
学んだことのメモ:
劉邦がなぜ天下を取ったのか?
-部下の言うことを聞く、しかし自分で決断を下す。
-成功報酬を弾む(自分で独り占めしない)
-補給路がしっかりしていた
項羽はなぜ失敗したのか?
-自分一個の知恵に頼って、教訓から学ばなかった
-自分にそむいた部下には容赦しなかったこと
-自ら帝位についたこと
-部下が付いてこなかったこと(うまく部下を使えなったこと)
劉邦が天下取った後
-指導者は疑心暗鬼になる・・・。
-韓信はでしゃばりすぎて、殺される。
-䔥何(しょうか)はできるだけ自分の評判を落とす形で、なんとか生き延びる
-張良は劉邦が天下を取った後すぐに、主要なポジションから引退する
劉邦のよかったことは、韓信(戦争のスペシャリスト)、張良(戦略立案のスペシャリスト)、䔥何(しょうか)(内政のスペシャリスト)という3人をうまくこなせたこと。自分よりも能力の高い部下を使うのは難しい。逆は楽。
中国の古典には「人生を楽に過ごそうではないか」というフレーズが多く出てくる。決して、仕事を一生けん目にしなさいということはない。たとえば、人生如朝露、人生似幻化