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【N#27】皮膚のバリア機能〜角質層は電気を通すこと、神経伝達物質の影響を受けること等、知られざる皮膚について

2019年6月24日(月)、サロン・ZEROにて、SKIPとの共催で、化粧品スペシャリストの本庄鉄弥さん(以下、本庄さん)を招いて、
『自分の肌どれくらい知っている?スキンケアの基本のき』〜皮膚の構造、石鹸vs合成洗剤、ケアについて
にてスキンケアについて、セミナーを開催した。

私は、アトピー性皮膚炎を20代後半から発症。怪しいチャクラの療法や、エネルギーワークや、アロマ、様々な軟膏やクリームなど、西洋医学以外にも色々と試しては、挫折。
副腎皮質ホルモン(ステロイド)の軟膏を40代の前半に手放ことを決断するまでは、ステロイドを併用しながら色々と取り組んできた。
ステロイドを手放した後も、保湿剤やビタミン・ミネラルなどのサプリを使い、今では免疫の機能を抑える薬を使っていない状態にまで回復した。
現在では、幸運なことにステロイドのお世話に全くなっていない。
2019年6月の初めにかけて、妻の亜希子が顔の肌荒れをきっかけとなり、ここ1ヶ月半、アトピー性皮膚炎が発症。色々な身体の不調が現れ、一時、仕事や生活がままならない状態となった(「アトピー性皮膚炎とカンジダ症:リーキーガット症候群とスキンケアについてどのように考えたか?」参照)。
改めて、アレルギーについて伝えていく立場になった時に、皮膚についてあまり学んだことがなく、学術的に何がわかっているのか、自分の勉強不足を実感。
しかも、今の職業は皮膚と大いに関係がある。何と言っても、ロルフィングは筋膜や筋肉、内臓、神経等を扱うが、皮膚の上からアプローチするので。
サロン・ZEROにて「『自分の肌どれくらい知っている?スキンケアの基本のき』〜皮膚の構造、石鹸vs合成洗剤、ケアについて」のセミナーを開催した際に、演者の本庄鉄弥さんから皮膚ケアに関する様々な本をご紹介いただいた。

皮膚の基本的な構造は、皮脂線、汗腺、表皮(角質層)と真皮の4つを理解するとわかりやすい。
表皮では、皮脂線から皮脂、汗腺から水がそれぞれ分泌。
皮膚の常在菌が表皮の皮脂と水が混ざったものを栄養にすることで、角質層に皮脂膜が作られ、弱酸性に保たれる。これが皮膚のバリア機能として働く。
もう少し、このバリア機能について知りたく、本庄さんからご紹介いただいた本の中で、資生堂・研究員の傳田光洋さんによって書かれた「皮膚感覚と人間のこころ」を参考に、もう少し、バリア機能についてまとめてみたい。ところどころ、専門的な話が出てくるので、読み飛ばしながらチェックいただければと思う。

動・植物の体にとって水は大事。水を奪われることは、致命傷になってくる。そこで水を中に閉じ込めていくための「バリア機能」が確立されている。
人間のバリア機能は、皮膚の最表面にある角層と呼ばれる薄い層が担っている。角層が死んで硬くなったケラチノサイトとその間隙を埋める脂質によって構成される。その構造のため、プラスチックと同じように水の通しにくさを持っている。面白いのは、ケラチノサイトは、皮膚は電気を通すことができることだ。
皮膚は、表皮とその下にある真皮に分かれ、真皮下には皮下脂肪がある。真皮はコラーゲンなどの繊維状の蛋白質によって構成されており、コラーゲンを作る線維芽細胞、免疫反応に関わる肥満細胞などがその隙間に入っている。血管は真皮に網状に分布(毛細血管)している一方、表皮の中に入っていない。

表皮の深い場所でケラチノサイトが増えていくのと同時に、細胞の形が変化(分化と呼ばれる)。細胞自体が死んでいく。ケラチノサイト内部からラメラ顆粒と呼ばれる脂質を含んだ粒が現れ、中身が細胞の死と同時に細胞と細胞の間に押し出され、細胞間脂質になる。表皮に存在するケラチノサイト以外の細胞としては、表皮の底には肌の色を決める色素を作るメラノサイト(色素細胞)、免疫系細胞であるランゲルハンス細胞がある、触覚に関与するメルケル細胞も表皮の深部にある。
角層は、10〜20ミクロンと薄い層。手のひらや足の裏、かかとはミリの単位の厚さがある。角層はやがて垢となって、剥がれ落ちる。表皮の底で細胞が生まれて表面にたどり着いて角層になってやがて垢となる。以上のプロセスは健康な皮膚では一定の速度、およそ1ヶ月間続くことになる
実は、角層のバリア機能は、セロテープで角層を無理やしに剥がす、アセトンなどの有機溶媒で洗い流すこと等で、簡単に破壊できる。身体はうまくできていて、破壊された直後、表皮最表層のケラチノサイトに蓄えられたラメラ顆粒が放出。バリア機能が早く回復させるための応急措置が施される。
面白いのは、プラスチック膜などの水蒸気を通さない膜で皮膚を覆うと一連のバリア回復措置が起こらないが、ゴアテックスなど水蒸気を通すものは回復する。表皮は自らのバリアの状態をモニターしながら、ダメージを受けた場合にはその修復を行い、それが元にもどせば、その急ぎの操作を通常のレベルに戻す。水蒸気を通さない膜で覆うと、表皮はバリアは回復したと騙されて、バリア回復のための一連の作業が行われなくなるとういうわけだ。
あとは、当てる光の波長によっても変化するという報告もある。実際、赤い光、高い周波数の音でバリア修復が早くなるということが知られ、「7色LED美容マスク★シミ、くすみ、ニキビ、ほうれい線、コラーゲン★も発売されている。果たして本当に効果があるかどうか・・・。まだ試していないが。

バリア機能にはカルシウムイオンが関わっているらしい。
健康な皮膚では表皮の最表層にカルシウムイオンが集まっている。バリアが破壊されると、集まっていたカルシウムイオンが拡散してしまう。その後バリア機能が復活するとカルシウムイオンの分布も元に戻る(カルシウムポンプがその働きを担う)。
一般にイオンが空間の中で偏って分布すると電位の違いによって電気が発生する。
健康な、つまり表皮最表層にカルシウムイオンが集まっている表皮では、深部を基準にすると表面は負の電位を持つ。バリアを破壊するとこの電位も消滅し、バリアの回復によってバリアは復活。プラスチック膜で皮膚を覆うことによってバリア機能が元に戻らないのは、電位も戻らないからと考えられている。
バリア機能破壊後、皮膚表面に負の電位をかけると、バリアの回復が早まった。カルシウムイオンも元のように表皮の最表層に集まっていた。このため、カルシウム分布と電位のうち電位が優位だと示唆されている。
角質バリアの回復速度も日内変動があり、夜7時から11時の間にバリアが破壊されると、他の時間に比べバリア機能の回復が顕著に遅かったという報告もあるという。

以前、本コラムでアーシングを取り上げた(「アーシングと健康〜大地を裸足で歩くことで、抗酸化や抗炎症作用が期待できる」参照)。裸足で大地を歩くことで、抗炎症作用を発揮することを中心に紹介した。
大地からの電子を取り込むことができるので、電気の流れによってバリア機能が回復するのって、腑に落ちる。そして、環境のいい場所に移ると(都会から田舎へ)、皮膚が改善するのもこれから説明できるような気がする。現に、私も東京から離れロルフィングのトレーニングを受けるためミュンヘンに住んでいた頃、アレルギー症状が劇的に良くなった。
最近、夫婦で、アーシングについて試みているが、実際に炎症を抑える作用を感じており、本当にわかっていないことがまだあるという実感がある。

あと、一番驚いたのは、ケラチノサイトには神経細胞と同様に興奮と抑制と呼ばれる二つの状態があるという。
ケラチノサイトが興奮するとバリア修復が遅れ、興奮が冷める(抑制)と修復が早くなる。なんとその、興奮と抑制は、脳などの神経系と同じ神経伝達物質と同じ受容体で起こる。例えば、睡眠導入剤・抗不安薬として使われているGABAは、皮膚に塗ると、バリア回復を早めることが知られている。そして睡眠を安定化すると言われるグリシンは皮膚のバリア修復促進作用があるらしい。
ロルフィングのセッションを提供していて思うが、自分の精神状態により、相手への影響を与えることを経験することが多い。もう少し皮膚の科学が進んでいけば、よりこの点が明らかになっていくと期待している。
皮膚のバリア機能についてまとめてみたが、もしご興味がありましたら、今回ご紹介させていただいた本を手にとってみることをお勧めしたい。

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