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街場のアメリカ論 内田樹 21冊目

内田樹氏の本については、以前ブログにて「日本辺境論」のところでも紹介した。
http://ameblo.jp/hiotsuka117/entry-10543056250.html
日本文化についての着眼点が面白いし、うなずく点があったので、彼の別の作品についても読みたくなった。そこで、何冊か購入、そのうちの「街場のアメリカ論」について紹介したいと思う。
私はアメリカに7年住んだ経験があるが、それなりにアメリカについて
この本でも「そうだったのか!」という気づきの連続だった。例えば、各々疑問に対して面白い回答を示している。
1)なぜアメリカには肥満が多いのか?とくに低所得層に?
低 所得層は、豊かな文化資本を享受できない。そして、その怒りを表現するため、何らかのステレオタイプ的な振る舞いを演じなければならない。そのため、ジャ ンクフードを食べ、ビールを飲むことで、200キロの体重を誇示する。彼は、これを「階級的異議申し立てとしての肥満」と表現。また、食事についてはヴェ ジタリアンにせよ、スローフード派にせよ、すべてが政治に結びついていることにも言及。食べ物はそれを実践すると他のものがごみに見える可能性があるた め、注意を要するということも指摘。非常に面白いと思った。
2)アメリカで臓器移植や美容整形が盛んなのは?
アメリカという国が そもそも理念先行型の国のため、身体加工に対してもそもそも抵抗が希薄。身体を乗り物として考える。そのため、できるだけ高性能の、ピカピカしたものの方 がいいと考える。そこから、臓器移植、美容整形、身体加工の技術が発達。これから、ワークアウトを含め、筋肉増強剤、ステロイドなどへと手が回る。中絶問 題やジェンダーの問題についてのアメリカのとらえ方もこの観点から考えると分かりやすいと思った。
3)上が変でも大丈夫?
アメリ カは理念によって成り立った国である。つまりすでに理想的な国家である。そこから、いかにして悪くしないか?そういった視点から、国家としてどう改善する かではなく、どう悪化を防ぐのか?という考えのもとで設計されている。だからこそ、凡庸な人間を選んでしまうというアメリカの独特なシステムが機能すると のこと。例えば、ブッシュ大統領は、文法の間違った発言やイラク戦争、経済政策の失敗があるにも関わらず、アメリカ人の好感を読んだのは、この国の独特な 政治システムにあると。
この三つを取り上げても、非常に面白く、アメリカは他の国に比べて非常に独特であることに気づかされる。内田氏はこの本で、何度もフランス人の学者トグヴィルを紹介しているが、その人がみたアメリカ観は非常にするどく、興味深い。
いずれトグヴィルの本はチェックしてみるにしても、アメリカについて、ヨーロッパとも、アジアとも違う独特な国であることを気づかされる一冊である。
街場のアメリカ論 (文春文庫)/内田 樹

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