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いい人ぶらずに生きてみよう 千玄室 9冊目

最近いろいろな出会いがあり、中でも裏千家のお茶を何年も学んでいる人との出会いは自分の視野をどれだけ広げてくれているか。感謝している。
そのお茶の師匠から、千玄室氏の「いい人ぶらずに生きてみよう」を紹介していただいた。本当にこういった本はタイムリーに出るんだなぁとなんだかこの本は必然的に出会ったのではないかと思えてならない。
作者は、言わずと知れた茶道の裏千家の大宗匠。世界中にお茶を広めようと日々活動され、
「一盌(わん)からピースフルネスを」
をモットーにお茶の心を通じて平和をという、非常に素晴らしい考えの持ち主です。いろいろと素晴らしいエピソードが紹介されていて、すべてここで紹介したいのですが、スペースの関係上、印象に残った二つを紹介したいと思う。
一つ目は、1952年にサンフランシスコ講和条約の発効したことを記念に日本美術展が開催。その時に作者は海外にいたが、ニューヨークから鈴木大拙先生がかけつけ禅と茶道について話した内容。
鈴木先生の講演のときに芭蕉の句について話した。なじみのある句で誰もが知っている
古池や蛙(かわず)飛び込む水の音
こ れは実は、禅の「空」なんだよと。え、と思うかもしれない。何といっても、古い池へ蛙が飛び込んでポチャン。その音を描いているに過ぎないから。しかし、 芭蕉は本当に描こうと思ったのは、音のない音。音を描くことで逆に永遠の、絶対的な空白が生まれることを言いたかったんだそうだ。実は、そこには何もない のだ。
こう考えてみると、俳句って本当に奥深いし、哲学まで語ることができるなんて本当にすごい。
二つ目は、和敬清寂(わけいせいじゃく)。この四文字も奥深い。
和は、平和やなごみの和。和しあうことでバランスを生みだす
敬は、敬うこと、全ての人を敬うことから平等の精神に直結する
清は、清らかなこと、浄化、内面も含めて清らかにする
寂は、心が静かで、動じないこと
千利休が掲げられた言葉だが、この四文字に茶人として又は人のあるべき姿が描かれているという。さきほどの俳句にしても、この四文字にしても、短い言葉で奥深い世界を表現できる日本文化。感心するばかりです。
今後、お茶についてはいろいろと学んでいこうと思っているので、こういった観点を念頭に置きつつお茶及び日本の文化の奥深さを発見できればと思っている。
いい人ぶらずに生きてみよう (集英社新書)/千 玄室

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